最高裁判所第三小法廷 昭和59年(し)34号 決定 1984年9月18日
申立人
甲山一郎
右の者にかかる窃盗保護事件について、申立人から保護処分取消の申立があり、これを却下した決定に対し、さらに抗告(原審事件名「再審請求却下決定に対する抗告」)の申立があり、これについて昭和五九年三月八日名古屋高等裁判所金沢支部が抗告棄却決定をしたところ、申立人から再抗告(標題に「特別抗告申立」とあるが、再抗告をしたものと認める。)の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意のうち、憲法三二条違反をいう点は、実質は、単なる法令違反の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でないから、前提を欠き、いずれも少年法三五条一項の抗告理由にあたらない。
なお、少年法二七条の二第一項による保護処分の取消は、保護処分が現に継続中である場合に限り許されるのであつて、右処分の執行が終了した後はこれを取り消す余地がないとした原審の判断は正当である。
よつて、少年審判規則五三条一項、五四条、五〇条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(木戸口久治 伊藤正己 安岡滿彦 長島敦)